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~しなやかに したたかに~  乳がんとのお付き合い
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CT・骨シンチ以後、急に遠隔転移が怖くなった。1週間入院・手術を遅らせたのがとんでもない間違いのような気がしてきたので、病棟のベッドに着いたときは正直ホッとした。
 
主治医は田中先生。イケメンでなく残念だが、同室の方によると「笑顔に癒される」とヨン様以上の人気だそうだ。研修医の福田先生も担当医として紹介される。(こちらもイケメンでなくて残念)
 
今日のメニューは急遽入った心エコーのみ。はっきり言ってヒマだし、入院したものの病人という気もしない。
 
ヒマをもて余したまま手術前日になる。昼間は特にすることもないので、外出許可をもらい家でゆっくり入浴する。「娘と一緒にお風呂に入りたい」と言ってもらった外出許可だが、よく考えてみると当の娘は学校から帰っていなかった。
 
夕方、手術室の看護師さんが説明に来られる。術前の処置から術後の予定まで、とてもわかりやすい表まで用意してある。
 
夜、田中先生から手術の説明を受ける。気になる遠隔転移については特に話がなかったので、大丈夫だったんだろうと勝手に解釈する。(もっとも遠隔転移があれば、手術の話にはならないだろう。)基本的に温存。但し広い範囲で断端に癌細胞が見られた場合は、先生のお薦め通り全摘でお願いする。医学でなく国語の問題なのだが、”広い範囲で断端陽性”というと、温存のガイドラインにある”広範な乳管内進展がない”にひっかかってくるような気がするのだ。温存の場合、6cmも刳り貫いたあとのシルエットが気になるが、水を入れて上げ底すると聞き目が点になった。「水」ってねぇ・・・。
 
麻酔科医は「若いメガネをかけた男前」か「若いメガネをかけていない男前」のどちらかと聞いていたので、密かに期待していたのだが、「麻酔科医の都合がつかないので、麻酔は外科でします」とあっさり言われる。「男前」にお会いしたかったなー。
 
手術当日。手術は10時前ということで、手術前恒例の大嫌いな処置のあと、着替えて記念写真などを撮っているうちに、お出かけの時間になった。
 
意識鮮明なまま手術室に入り、偶然大好きな曲「カバティーナ」が流れていたので耳を傾けていると・・・目蓋が重くなってきた。前回の手術ではすぐに意識がなくなったのに、身体が動かなくなって・・・息苦しくて気がつくと、呼吸できていない!!筋弛緩剤から先に効き始めた?文句を言おうにも声が出ないし身体も動かない。「ここで死んだら化けて出てやるー!」パニックになりかけて気付いた。各種モニターは取り付け済みなので、呼吸できないことはわかってもらえるんだ。化けて出るのは中止して極楽往生を目指すことにする。でも、意識があるうちに手術が始まったらイヤだなぁ・・・と思っているうちに、目の前に金色の光が広がり、その光に向かって意識が跳んだ・・・
 
「済みましたよ。お疲れ様でした」(わたしは寝ていただけ。”お疲れ様”はあなた方でしょう)言いたいけれど声が出ない。辛うじて出せた言葉は自分でも思いがけないものだった。「残せました?」「大丈夫。予定通りにできたから」胸と腋に激しい痛みを感じた。痛む場所から全摘でないことはわかったが、追加切除はされたのかどうか・・・。確認したいけれど声が出ない。
 
その後、鎮痛剤を使ってもらったので傷の痛みは殆ど感じなかったが、右肩が非常に痛い。撫ぜるか押さえるかすると軽くなりそうな痛みだが、生憎左手は血圧計と点滴で動かせない。右手はもちろん固定されている。
 
夜、11時半ごろ来られた福田先生に「押さえたら楽になりそうなんですが・・・」と言うと「あぁ、良いですよ」・・・って、そういう問題ではない。この血圧計、何とかならない?
 
付き添う気満々だった親には「大丈夫だから」と帰ってもらったのだが、とても不安になってきた。
 
背中が痒くなったらどうしよう?
 
長い夜が明けるとウソのように楽になった。掻けないところが痒くなることもなく、鬱陶しい尿の管も取れて食事もいきなり普通食。でも右手が挙がらないので食べにくい。
 
傷を見るのが怖かったが、ガーゼ交換のときに覗くと意外なほど小さい。ガーゼ交換に来られた三木先生にそう言うと「田中先生が頑張ってくれましたから」と言われる。
 
その三木先生が麻酔を担当されていたのだが、後から感想を聞きに来られた。特に意識のなくなる直前の状況について。思わずニヤリとしてしまった。折角なので正直にお話する。モチロン化けて出ようと思ったことは抜きにして。すると「もっと良いタイミングで眠らせてあげれば良かったんですが・・・スミマセン」と言われる。ここまで直球で来られると非常に好感が持てるのだが、こんなに正直で良いの?三木先生。
 
手術から2日後、リハビリを始めるように言われる。田中先生はリハビリが進みやすいように、痛くて90度も挙がらない腕を引っ張ると言われる。「痛そうだからイヤです。遠慮します!ご辞退申し上げます」キッパリ言ったのだが、居並ぶ先生方の失笑をかっただけだった。マンモといい、この腕引っ張りといい、まるで中世の拷問だ。
 
この日、点滴も取れた。卵巣を摘出したあと、きっちり食事が摂れていたのに2週間も点滴されていたのと大違いだ。翌日2回、抗生剤の点滴があるので針は残してあるが、点滴スタンドを連れて歩かなくて良くなった。
 
 
術後1週間。朝の回診のときはそんな気配は全くなかったのに、昼前にいきなり「ドレーンを抜こうか」ということになった。腋から出ているドレーンは、廃液パックにつながっていてベッドから離れるときは、このパックをポシェットに入れてぶら下げる。このポシェットは財布がちょうど入る大きさなので、売店に行くときなど密かに便利と思っていた。だがドレーンの入っている鈍い痛みは、とりたてて言うほどのものでもないが”しんきい”のだ。
 
だからドレーンを抜くのは歓迎なのだが、抜いた後も滲出液が溜まり、3回もそれを抜くことになった人もいた。後から抜くのもとても痛いようで、そんなことならドレーンの方がマシだし・・・それにドレーンを抜くのも痛そうだ。
 
「痛そうですね・・・イヤだなぁ・・・」控え目に言ったが、取り合ってもらえるワケがない。「ハサミ」と声がして「痛ッ!!」一度叫ぶと「ハイ取れました」「え!もう?」「そう、期待に反して悪いケド」
 
往生際は悪かったけれど、取れてみると非常に身軽になったと思える。抜いた後は少々痛いけれど、数日で治まるに違いない。
 
術後10日目。身軽になったのでダメモトで外出をお願いしてみると、時間制限なしでアッサリOKだった。8時間ほど家に帰る。
 
ピアノでハノンを30分。エレクトーンを断続的に1時間半ほど弾くが、やはり右腕の痛みと筋力が落ちているので集中できないし、音のコントロールもしにくい。リハビリをしっかりしなければと思う。
 
リハビリといえば研修医の福田先生はウマイ方法を思いつかれたようだ。毎朝、腕の挙がり具合をチェックに来られるのだが、わたしは上に挙げるときに肘を曲げたり・・・と誤魔化しに余念がなかった。それがバレて以来、「腕、挙げてみましょうか」と言いながら自分の手で支えるふりをして、しっかり引っ張っているのだ。気付いたときは「ヤラレタ!」と思った。
 
術後14日目。傷のテープなどが取れてスッキリ!する。水で上げ底をした仕上がりはナカナカのもので、傷跡もとてもキレイ。まさかこれほどの仕上がりになるとは思わなかった。この水が吸収されずに残りますように。
 
病名まで知ってお見舞いに来てくれる人の視線は胸にくるのだが、何も補正していないと言うとビックリされる。非常に良い気分だ。田中先生に「満足度は高い?」と聞かれ「モチロンです」と答えると「宣伝しといてね」
 
宣伝って言われても・・・誰に何てすれば良いのだろう???
 
 
さて気になる成績表(病理結果)は術後3週間で出た。ハッキリ言ってガン告知以上にショックだった。
 
「ホルモン(-)」これは術後の全身療法としてのホルモン治療がほぼ無効であるだけでなく、再発リスクも(+)と比べてやや高くなるということらしい。ホルモン療法は5年程度続き、子宮体ガンのリスクも増えるので、子宮体ガンの痛い検査が大嫌いな私にとっては有難い話かもしれないが、「予後」で見ると喜んではイケナイ。
 
良い材料はリンパ節転移がなかったことで、ステージとしてはⅠになるが・・・他の要素も余り良くなかったしな・・・。ホルモン療法ができないので、標準治療では化学療法推奨になるが、田中先生は化学療法もイチオシではないようだ。それも無駄ではないが、再発率を「気持ち」下げる程度のモノなので、副作用対効果を考えると何もしなくて良いと言われる。「3ヶ月毎ぐらいに元気な顔を見せてもらって、それが10年続いたら治ったことになるから」と。その「10年」が無事に過ぎれば良いのだけれど。
 
考えてみれば「無治療も治療のうち」化学療法をせずに体力・気力を蓄えて免疫力を上げるように心がければ、抗癌剤でヘロヘロになるより良い結果が得られるのかもしれない。
 
絶対にあと30年は生きていたい。元気で。でないと、娘の20代は祖父母の介護で終ってしまい、わたしの墓参りにも来てくれないに違いない。
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